南京の基督

まさか自分の住んでるマンションで営業してるとは思わなかったのと、たとえば芥川龍之介の世界みたいな意味の娼婦ではなくて、えっ? だって、大学、まだ夏休みだよ、とか言われて、ああ、と。ゆとり日本より熱心な英語教育の話とか、第三外国語や第四外国語の話を聞いているうちに、うん、そうだね、国籍関係ないね、でも少し先に進んだ国生まれの俺と、遅れてきている国のあなただから、俺はこのマンションに家賃払って住んでるし、あなたは埼玉県の6万のアパートでルームシェアしてる部屋から、大学の休みを利用してココに通っていて、そして出会って、お茶入れてくれたりしてるんだよね、と。公立? 私立です、まさか早稲田じゃないよね? 早稲田ではないです、と。経済学部。

もしかしてハーフ?と聞いたら、よく言われるけど、違います、と。法律のことや経営絡みのことをそれなりに突っ込んで聞いていたら、ああ中国人はそれぞれ賢いのね、あと、店長と店員の関係って、それなりに、べつに同じ国だからって仲間というわけじゃないのね、的な。経営のことはまったく知らないのです、そしてココは風俗ではないのです、というところに筋が一本通っていた。彼女はガサが入ったって逮捕されない建前なのだろう。

地方都市でその筋の人に囲われて「毎日勝手に射精されてさ 彼氏とか思ってないし」とメンヘルってレベルじゃないぐらいにまくしたてつつあたしをココから逃して、お願い、と言ってくるような世界もまだあるにはあるのだけど、ともあれ。

怖くないの?とも聞いてみた。ワンルームで、一人で応対してるわけでしょ? うーん、でも、日本人はみんなやさしいから、でも我慢できなくなる人いない? 日本人では、いない、そうかぁ。など。すごく、偉いなぁと思うの、日本人って。すごくよく働くし。ふつう、こんなになってたら、我慢できないよね。

でも、東ヨーロッパとか、この形式多かったよね、そういえば、と思った。俺は早く死ねばいいのに。