高野山への道(2)京都洛南〜奈良東大寺〜法隆寺〜天理市
Day 2
全然面白いことなんかなかったし、むしろけっこう悲惨だったうえに写真も満足に撮れなかったのでブログに書く気もしないのだが、ともあれ、まぁ、敢えて書くとするならば、(ろくに記憶すべきこともなかった記憶をたどりつつ)、がらにもなく安宿など予約して泊まった昨晩。宿を予約する旅なんて何年ぶりだったろうか。
京都発・高野山参りの旅、2日目からは宿泊所未定の「いつもの」に戻る、つもりだった。テントも寝袋もあるし。
▲Wikiloc - 京都→奈良
とは言え、天気が良いのはこの日まで。明日から荒れる予報が出ているので、そうそう無計画に野宿旅というわけにもいかないか。
奈良まで走って奈良で宿を探すんだろうなと思う。テントが使えるのはもっと田舎の和歌山に入ってからか。
東京で自転車に乗っていると、ふと、あそこにテント張れそうかな?みたいな目であたりを見るクセがついた。自転車に乗り始めて他人の自転車のメーカーが気になるようになり、一眼カメラ(?)を持ち始めて他人のEOS5DMarkIIが気になるようになり、そうしてモンベルのテントを買ってからはテントを張ってゆっくり休めそうな場所が気になるようになった。もちろん東京では、そんなところには(そんなところでないところにも)たいてい先住人の方がすでにいるのだけども。べつにダンボールのメーカーに興味を持つことはなく、それで京都ではそんなでもないな、いないことはないけど、と思った。和歌山なら大丈夫だろう、そんな風に思った。
四国参りではひたすら時間に追われた感が強いので、のんびり行きたいと思う。7時から17時までのあいだにいくつお寺を回れるか、というお遍路納経制約がないのだから、気が向いたら何時間もダラダラすればいいし、つまらなければ深夜の道を飛ばして進むことだってできる。宿を取らなければ昼夜逆転も辞さない構え・・・なんだけど問題は明日からの雨。そんなに降らなければまぁ。
本日もお休みの五條楽園。この界隈だけほんとにひっそりしている。
誰もいないし、猫もいない。
クソ高いし、オバサンばっかだよ、とも言われるが、リアルに仕事をしているよな、と想像する。身分や肩書きで仕事をしているのでないから、いや、どんな仕事であれリアルで仕事をしている姿が見えたらよいのだが、残念ながら曇った俺の眼には、その「仕事をしている姿」なるものが解釈できなくなってしまった。エンド消費者とのあいだに中間が入りすぎるから? まあどっちみち今、界隈は、年に一度の長期休暇期間ということで。
京都洛南方面へ、その前にもう一つ世界遺産があった。いやもっとたくさんあるか・・・
三十三間堂
しんとした静けさとお寺的なもの、そういうのを期待する気持ちは昨日で尽きた。京都の有名なところ、JC・JKだらけに決まっているのだ。静かなのは保津峡だけだった。
内部は撮影が禁じられていた。禁じられたら絶対に撮らない、ってほど「善良民」でもないんだけど、まぁ、外部を撮る。
昔から写真に撮られるのは好きではなかったが、撮られるのが嫌というより、あとで見ねえしな、自分で。だから意味ねーな、と思っていた。でもこうして進んで写真に写ろう、写真に残そうとする若い人々を見ていて、うーん、どういう感じなんだろう。分からないなぁと思う。
はじめてカメラ(鬱るんです)を買ったのは自分がタイ・ネパールへ行くとき。風景ばかり撮っていたけど結局いろんな人に自分自身も撮られることになった。ネパール人のガイドさんがチトワン国立公園の雄大な地平線に沈む太陽をバックに俺を撮ろうという。巨大な像が立ちバックでやってる姿をバックに俺を撮ろうという。バンコクで知り合った韓国人の学生がパッポンのゴーゴーバーのおねいちゃんたちをバックに俺を撮ろうという。それから姉ちゃんに渡して一緒に写ろうという。ロシア国境で捕まったときに国境警備員さんが友達を集めてきて一緒に撮ろうという。
いずれにせよ撮った写真はたいてい現地で現像した。そうして自宅に郵送していた。長い旅の場合はとくに。空港の検査で感光するのが恐かったのかもしれない。8度の海外旅行で写真を撮った旅は6回かなと思う。うち現在も残っているのは4回かな、5回かな、いやもっと旅行してるな。。。
ともあれ、どこかのタイミングで、「鬱るんです」は使わなくなり、ケータイに変わった。自分が初めてケータイ電話を持ったのは正社員就職して少ししてからだったから2000年か。26歳だわ。
京都・三十三間堂からほぼまっすぐ南下。ガイド本にしたがっているつもりなのだが、車道は反対向きの一方通行みたいだ。
途中で道を曲がり、
高瀬川(東高瀬川)をさらに南下。
奈良まで、めぼしい見所も見つけ得なかったので、サイクリングガイド本に載っている有名(?)店で昼飯を食おうと考えた。
近鉄線・桃山御陵駅前にあるらしい。住所が分かっているので、ナビに打ち込めばピンポイントで行けるのがよい。
時刻はちょうどお昼時で、店は、外で並ばなくて良いギリギリぐらいに混んでいた。
- ジャンル:ラーメン
- 住所: 京都市伏見区京町大黒町118
- このお店を含むブログを見る |
- (写真提供:Akio I)
味は自分の好みにピッタリではなかったけれども、オバサン・オネイサン店員がたくさんいて非常に効率良く回しているのが分かった。なんにも話していないのに自分の手荷物のガイド本やらオリンパスのカメラやらを見て「まぁ京都から」とか、いろいろ読み取ってお水くれるときに声かけてくれたり。旅をして外食をすると、それでも「次回のサービス券」を当たり前のように差し出されたりすることが多いけど、ここでは「いらんよね(笑)」と笑っていた。お客が来ると「いらっしゃいー」出て行くときには「おおきにー」と大きな声で言う。ああここは関西やねんな。
京都から奈良方面へは、本当は、初日に北上した桂川沿い、嵐山を起点に木津までずっとサイクリングロードが続いているのだけれど、桂川は京都駅よりもだいぶ西を流れているし、自分は三十三間堂や、大黒ラーメンを経由していきたかったので、東寄りに南下している。どこかで川にぶつかりたい。直線的に24号線を攻めると川にぶつかるまでが長い。川を目指して西へ向かうとトータルの距離が伸びる。
なので、ほどほどに南下、信号が多い、路肩が狭い、車が多い、脚がエロい、等のストレスがたまってきたら右折、西の川沿いへ
サイクリングロードに出ると、今度は風との闘いか。川から遠いけどいちおうの左岸を進む。
こういう、あるいはもっと廃線の寂れた線路でモデルさん撮りたい・・・
途中でサイクリングロードを見失ったのでコンビニで聞き、橋を渡って右岸へ進む。
桂川・木津川サイクリングロード(木津川編)
右岸には、土手下と土手上にロードが続く。土手下は風を受けずに気持ちよく走れそうだ。
今回のクロスバイク、MARIN Muirwoods の装備状態だけど、
A.標準ハンドルは72cmもあり太いので、別品に交換後58cmで切断。エンドには、ERGON GC3。手の甲を置くスペースがあり楽。先端部は激坂上り用。
B.前カゴは小さめ。ママチャリ用のようなホイール中心から伸ばすステーがつかないため仕方ない。
C.前照灯はPanasonic製の自動点灯型。ハブダイナモ式はペダルが重くなるのを嫌って点けない人大杉なので禁止すべき。
D.車輪カメラは、4m防水&防塵で自動シャッターの切れるPENTAX Optio W60。画質の悪さに定評があるが、天気の良い屋外ならばどんなカメラだって綺麗に撮れるお!
E.サドルバッグに修理工具一式。バッグを取られないようにいちおうワイヤー施錠。
F.携帯ポンプはフレーム形状から長いものを設置できないのでほどほどの。簡単にパクられないよう針金等で防備している。素手では無理だろう。
G.チェーンガードは、UNIDISK。これなにげに平服で乗るなら必須。GIANTのクロスなら標準装備が多いけど。
H.パニアバッグは完全防水。
I.スポーツタイプ自転車のリアディレイラーは右側転倒したら終了なので、輪行時保護も含め、KUWAHARAのガードをつけてる。
そんなこんなの苦労をしてカスタマイズしているわけで、気軽に自転車泥棒する人は即死刑orちんぽ切断で良いと思うんだよね。
一方カメラのほうだけど、E-P1。マイクロフォーサーズって言いながら、タバコの箱(ロング)にすっぽり入ってしまいレンズ飛び出しもなく自動シャッターも切れて夢がひろがりんぐなOptioW60と比較すると、やっぱりデカい。かなり小型レンズであるM.ZUIKO DIGITAL 9-18mmでも、これだけ邪魔な存在。キットレンズの14mm-42mmなんかよりは、9-18mmのほうが使いやすいかなと思う。こっちをキットにすべき。
ちょりーっす。道幅は狭いけどすいすい。
木津でサイクリングロードを終えると、奈良はもう近い。あたり一帯、大きな古墳だらけだったりするんだけど、自転車で走ってるぶんには見えない。
俺なんぞが生まれるより昔に開園してブイブイ言わせていたという奈良ドリームランドの脇を走る。その後、東京ディズニーランドの登場で壊滅状態になり今は廃墟で立ち入り禁止。アトラクションはみんな残ってるぽく見えるが、通報されると罰金5万円とかなので侵入は諦める。いつか彼女(笑)ができたら二人で侵入しようぜ。
奈良サイクリングロードに入り、飛ばす。平城京はもうすぐだ。
平城京跡
なくよ(794-)ウグイス平安京・・・の前の前、なんと(710-)立派な平城京。今年で遷都1300年。
とはいえここが首都だったのはたったの80年間だよな。今はほとんど建物がなく、広大な広場と化している。
古墳群地域で道に迷ったこともあり、もうすぐ夕刻ということもあり。また天気もいまいちで、パッとした鮮やかな写真が撮れない。アイデアもなく。
そして雨がパラつきはじめる。あーとっとと駅前へ出て宿探すか。。。
奈良駅、近鉄奈良駅を通過してみて、安宿らしきものは見つからず、ケータイでサイトを見てもスパムサイトばっかり。。。iPhone4欲しい。。。
近鉄奈良駅。
近鉄駅周辺をこまめに見ながら進み、どうにか宿を確保。
宿主のオッサンも自転車ツーリングが好きらしく、ソニーのナビ子についていろいろ聞かれた。彼はガーミン使いだったが、あんまり見難いので最近はやめたそうな。
さて寝床が決まったら、東大寺に行くにはもう遅いし、徒歩で街をぷらぷら。
夕飯をどうするか、と、あと探しているものは・・・
これこれ。ダイソーはどこにでもあるねw 明日以降に備えて、ビニール傘と、自転車漕げるタイプの雨具上下をゲット。
トンカツ屋でテイクアウトのトンカツ弁当を買って宿へ戻り、
風呂に入り、
眠りにつく。憂鬱だ。
走行距離 75.74km(京都〜奈良)
Day 3
案の定、雨。雨にもいろいろあるけど、本格派の雨だ。
少し悩んだが、チェックアウト後も宿に自転車と荷物を預けて、徒歩で外出。モスバーガーで朝飯を食う。悩んだというのは、カメラのことだ。雨でもマイクロフォーサーズ機にカバーをかけて持ち出すか、完全防水のコンパクトデジカメだけにするか。後者にしたわけだ。
雨でもココは東大寺の近く。JC・JKの修学旅行はとうぜん決行みたいだ。
自分も奈良公園・東大寺方面へ、ダイソーで買った傘を差して一人で向かう。(自転車に乗っていれば「サイクリスト」という肩書きが得られるわけだけど、こうして徒歩で歩いていると、ただの変質者みたいだ・・・←間違っていない)カメラも小型コンデジなので、なんとなく、中途半端な気分。
奈良公園
というわけで、定番の。背景はまったくボケない。
気の迷い、俺は鹿を撮りたいのか、JCを撮りたいのか。
たぶん、半々ぐらいだろうか。
興福寺などを歩く。
それから公園へ。ヒト科では絶滅したと言われる草食系の女子がたくさんいた。
東大寺大仏殿
このあたりもみんなカメラを持っている。だから、俺も時間が稼げる。コンデジのくせに思いきりしゃがみこんで、大仏殿を背景に、水たまりがクッキリ写るように、そして人間を、友達がいないので知らない誰かを、なにをしているのか分かりやすい誰かを、顔がハッキリ写らないように匿名性の誰かを、入れてそれなりの写真らしくするんだ。
大仏殿へ向かう道には鹿が紛れ込んでいる。角に誰かのカメラバッグをひっかけてしまった不幸な鹿が暴れていた。暴れれば暴れるほどカメラバッグの紐は角と顔に巻きついて取れなくなっていた。やがてカメラの重みで角は折れた。その写真も撮ったけど、グロいのでボツにした。
LUMIX 45-200mm とかあればなぁ。。。鹿を超望遠で背景飛ばし気味に撮りたい、色とりどりの傘がトロけるようなバックになって・・・と思っても、ないものは仕方がない。
鹿は人に慣れている。無口ではあるが、俺より人見知りしない。
あ、カメラ女子・・・けっこう気合い系カメラじゃね? 雨なのに。
大仏殿の中はさすがにコンデジだとキツい。これでも奇跡の一枚。
非モテ男子。
草食系女子。
そんなこんなで東大寺を後にし、
暇つぶしにインターネットカフェに入り3時間パック。今日と明日はずっと雨のはずなので、2時間ほどをはてなブックマークに費やし、残りの1時間で今後の移動計画を練る。
▲Wikiloc - 奈良→法隆寺→天理市
その結果がコレ。激しく雨が降ると、完全防水ではないナビ子にはビニール袋をかぶせてしまうので、音声は聞こえるが地図はほとんど見えない。ガイド本やグーグルマップのプリントアウトも持っているが、これをいちいち見るのも厳しい。ので、ひとまず目的地を「法隆寺」に絞り、見物したら、次は今晩の宿泊地としてネット検索で浮上してきた天理市の健康ランドに定める。住所を入れてマーク完了。これで、雨の中の未踏地でも迷わず進めるだろう、という算段。法隆寺まで1時間半、健康ランドまで1時間ぐらいかと。
それで午後も遅くなってから宿に戻り、荷造りをして、コンデジも車輪軸に取り付けて、出発。
雨の激しさは増していた。
JR奈良駅。少し困ったことに、ナビ子、「ほうりゅうじ」で検索し、「奈良県」に絞ると、地名にもなっている法隆寺は、たとえば「ファミリーマート法隆寺東店」など、「法隆寺」と名のつく建物がぜんぶ検索結果に引っかかってしまい、数百件という状態でまったく絞れない。。。仕方なく、少し離れてはいるが、「ほうりゅうじえき」で検索し、駅へ向かうことにした。
雨の激しさはさらに増す。法隆寺まではサイクリングロードが結んでいるのだが、
途中で微妙に途切れたりする。サイクリングロードでナビ子の案内はメチャクチャになるし、車道に出ると水しぶき喰らうし・・・
でも迷いそうになったので、後半は車道を使うことに。。。つか、傘差し自転車は違法じゃね? 傘差してない自転車なんて俺ぐらいとはいえ。
道が狭い。雨が強い。
ようやく法隆寺駅。ここで地図を拡大してお寺の位置を指でマーク。案内開始。少し離れてるな。。。
あー、つらい。
レンズも水滴で曇っているが、俺のメガネも同じ状態だ。
なんか見えてきた。もう閉鎖する17時が近いので、JC・JKは見当たらない。
でも、ここだろう。
法隆寺
最終入場時刻が間近で、あまり長く見られないよ、と警告受けつつ拝観料を払って侵入。
しかしまぁ、どしゃ降りだし、閉館寸前だし、人少なくて、それはそれで良かったかも。
ただ、人は俺だけ、というわけではなかった。
上下雨合羽、210円の雨合羽で自転車を漕いできたので、ズボンは千切れていた。フードの部分も止め紐が千切れている。ひどい格好を俺はしている。
光量も少なくて、どんな写真が撮れてるものやら分からないまま、とりあえずシャッターはパチパチ切っておいた結果がこのあたり。
さて、出発。目指すは天理市の健康ランド。ゆったりつかれる大浴場があるのは間違いないし、宿探しするのとは違って、満室というリスクもない。住所もナビ子に打ち込んであるし、ヘタな宿より場所が見つからない、みたいなリスクもなかろう。
とはいえ、どんどん強くなる雨足。
こんだけ降られると、ドロよけのない自転車前輪がはじく水しぶきも関係ない。
これ、1時間に何百ミリってレベルだわなぁ。。。
道案内はナビ子に任せっきり。自分が東西南北どちらに進んでいるのかも分からない状態で、でもなんか見えてきた。。。
いちおう屋根ありの駐輪場に停める。
奈良健康ランド。巨大駐車場に車がたんまり。大盛況みたいだ。
入館したら出れないだろうから、ほいで中で食うと高そうだから、近くのすき屋へ。
ごちそうさまでした。
健康ランドに入館。貴重品をダイヤル金庫に預け、浴室用ロッカールームが満員とのことで、併設されている温水プール用のロッカーで着替え、露天風呂(ただし大雨)、サウナなど一通り入浴。貸し水着もあるというので、ひと泳ぎしようかとも思ったが、俺はゴーグルと耳栓がないと泳げないんだった。。。
館内着を着てレストルームへ。地上波全局同時に見られるテレビたち。
おしゃべりする人は手前、寝る人は奥、女性専用ブースがさらに奥、と区画されていて、わりと居心地悪くない。天気予報を見ると、明日も終日雨予報だったはずのものが、夕刻にはやむ予報に変わっていた。よしよし。
走行距離 31.18km(奈良〜法隆寺〜天理市)
(3)へ続く