眠れないので池袋へ

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前の記事で鶴見と磯子を撮りつつもやはり池袋がないのはまずいだろうとNaverまとめを見ながら思った。ホンマタカシさんが言うように光画(フォト・グラフ)には決定的瞬間とニューカラーの二つがあり、それは俺の中で[戦場カメラマン]と[ソフマップ]なのかな、もしくは[産経写真部]と[佐々木希]だろうか、と思いつつもなかなかしっくりこない。こなくてもいい。まだ読み始めたばかりだしどうせ俺は遅読すぎて読み終わらないのだ。
 
 
 
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[自転車脳の恐怖]に乗って夜の横浜を飛ばすのが涼しくて気持ちいい雨のない6月の深夜、俺は自転車の距離感を取り戻すべくというか、磯子まで走ってみてずいぶん近いことに気づいた。磯子があれほど近いのだから根岸はもっと近いし、山手など目と鼻の先。しかし山手には坂がある。山手までは行かずに根岸のあたりから自転車を降り、道に迷いながら歩き続けてまずは白滝不動尊の八十八段の階段を登った。
 
 
 
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この写真のようなものではない急激な階段を登る途中で俺は恐怖にとらわれる。久しぶりの自転車で脚がガクガク震えており階段を登る足がすくんでいることに気づく。背中にはカメラとレンズと三脚を背負っている。視界が悪い。なにも見えない。まっすぐな八十八段の階段を自分はまるで垂直に登っているような錯覚にとらわれて手すりをつかむ手に力が入る。なにかあったらそれはそれでそれも経験だし、と思う余裕がなかった。カメラを背負った俺は絶対に転んではいけない横浜24時、心のどこにも余裕というものがなくなった。
 
 
 
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横浜界隈の工場萌えスポットは、1.昭和、2.磯子、3.白滝不動尊、4.池袋公園、というのである。1.と2.は撮ったから、3.と4.へ行こうと思った。どうせ眠れないし、ヨルダンには大勝した。あとはそこへいって決定的瞬間ではなくニューカラーを、[産経写真部]ではなくて[KJM]を撮ろうと思った。
 
 
 

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しかし白滝不動尊をどれだけ歩き回っても、そこから工場の素晴らしい夜景スポットを見つけることができなかった。暗くて足場が良いのか悪いのか分からず、間違って落っこちたら笑えないほど高価なカメラを背負っているのがまずいのだろう。もっと安いカメラを持ってくれば良かったと思った。それで池袋公園・・・どれだけヤフー地図で探しても東京都豊島区の中にしか見つけられない横浜市中区の池袋公園を見つけるのに時間がかかった。が、どうせ眠れないのだし、終電があるわけでもない。いずれ根岸に戻れば俺のクロスバイクが7つのチェーンに巻かれて俺を待っている。ゆっくり探せばいいと思った頃に、それを見つけることが出来た。公園と呼べるほどの面積もない、本当にヤフー地図に乗りようのない小さな踊り場、それが池袋公園だった。
 
 
 
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キタムラで買った中古500円のケースから三脚を撮りだし、工場のほうへレンズをセットする。なるほど、ネットで見かけたアレと同じ構図しか撮ることが出来ないのだな、と納得した。この構図でしか、ここからは撮れないし、ここ以外から、京浜東北線の向こう側にある「プラチナ色に輝く根岸製油所の工場夜景を」「SF映画に出てくるようなメタリックなプラント」を「強烈なインパクトとして視野に飛び込んでくるとともに、フレアスタックと呼ばれる煙突から激しく炎を吹き上げる様子」を、撮ることはできないのだ。
 
 
 
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ほれ。
 
 
 
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はれ。
 
 
 
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無理に向きを変えて、Jパワーなども。
 
 
 
これで定番の横浜KJMは終わりだ。ここから先、工夫と探索をしなければ、撮ることはできなくなる。さて。