リマインド(& tests)

暑くなってきて眠れず、今夜もEric Kimなど見ていた。シカゴシリーズがすごく良い。

 
ふと、以前ドバイでレンタカーを借りたとき、受付の人に「おたく、カメラマンさんかい?」と聞かれたのを思い出した。俺はカシオのコンデジ、EX-FH20を首からぶら下げており、それとはべつにSUV-CAMを持って無職の一人旅をしていた。カメラマンではなかった。無職ないしは、ポンコツSE崩れだった。ドバイを走る映像を撮ったり、スカイダイビングの空撮をしたりしていた。そこには、雪山で滑って死にそうになった30分前のスリルは微塵も写っていなかった。いや、もっと本質的には、東欧から出稼ぎにきているドイツのおねいちゃんをコソコソと撮っていた。店の人に見つかって締め上げられたりとか、まぁ、くだらない。もう若くない頃の話なのに。。。。で、「いえいえ」と俺は無意味にしどろもどろし、トヨタのレンタカーの鍵を返却すると、大阪行きのエミレーツ搭乗口へ向かったのだが、そんなとき、ポートレートの1枚でも2枚でも撮らせてもらえば良かったと思った。
   おれはあたまがわるい
もっと昔の海外旅行を思い出しても、当時(1999-2000)ロシアなんかでも、無駄にEメールアドレスやらホームページURLを教えてくれる人などいたりしたが、そんなゆるい交流の中でも俺は決してカメラを人に向けたりはしなかった。いや、決して、ということはない、女性が撮らせてくれるときには撮ったが、男なんかまったく撮らなかった。男を撮るという概念すらなかった。ほかに、ずいぶん俺自身の写真もあちこちで撮ってもらったものだが、非モテなのでやむをえず一人旅をしているという状況を耐えかねるマインドの俺は、そんなものを見返したくなかったし、他に旅で道連れになった人と撮った写真にもおれは全く価値を見出さなかった。今残っているものもあるし、ないものもあるが、残っているのはたまたまであり、大切に管理・保管しているという感じではない。そういう意気で撮っていないゆえに?
 
 
 
つい最近、久しぶりに、つまりは、はてな村だか機材沼だかに入ってからは初めて、写真を撮らせてもらえませんか?と女性に言われた。俺と同じ年くらいだろうか。いや、そういうふうに言われたのは初めてかもしれない。自分で思い返して面白いなと思うのは、とっさに俺の取った行動であり、それはQB Houseで切ったばかりの髪をサラサラと整えるていをし、眼鏡の位置をなおし、はぁ、どうぞ、と消え入りそうな蚊の泣き声で返答するというものだったが、彼女は「いえ、撮っているところを撮りたいんです」と言うのだった。そういうわけで、俺は「はぁそうですか」とこたえ、そのままシャッターチャンスもないのにバズーカー砲を構えて、なにかを撮っているふりをした。それで2枚だか3枚だか撮られて、ありがとうございました、と挨拶されたのだった。写真を撮っている人を撮っているんです、と彼女は言った。
Ericの性格のために、こんな話を書く気になっているんだろうと思うが、やはり奇妙なものだし、それはなにかの策謀であり、俺はそんな写真を撮られたことで大炎上して人生が終了するのだろうか。
   おれはあたまがわるい
つまり、撮影はとっとと済ましてもらって、はやくさよならしたいという空気を俺は出していたと思う。そうではなく、へぇほかにどんものを撮っているのですか、写真集などあるのですか、ブログがあるのですか、でもなんでもいいけど、なにか会話すれば良かったのにと思うのだが、悲惨なことに、そして俺にしてはあるまじきというか、彼女の持っているカメラの機種名すらチェックし忘れているのである。