書けるか

アロマの香りのする部屋、安物のラジカセから小さな音量で流れるリラックスBGM、部屋が無駄に広く、人が少ない。自分と、もう一人、たぶん自分より若い、白衣の男子、既婚。用紙に書いた自分の名前が斜めに曲がっているな、と気にしながらまずは近況を話す。話してから、こういうことに慣れつつあるな、と思うのだが、つまりは、で、どうしたいのか、を先回りして話し出す。

   *

はてな」ではないブログサービスのトップページからパラパラと適当に開いて直近の記事などを読む。プロフィール欄を斜め読む。そう、昔、はじめて書いた増田で注目エントリに入ったとき、ブクマしてくれた人のブログ(ほぼ、はてなダイアリー)を眺めていて、なんか、はてなって、萌えアニメアイコンが好きな人のためのサービスなのかな、と思いつつ、プロフィール欄に、ひたすら年齢に関わる情報がない、異常だ、なにこれ、好きなもの?が羅列してあり、意味不明だなー、こわいなー、とか思っていた。それなりに、新参者への敷居を高くして、ふつーの人には意味が分からないような暗号でやりとりする世界がここにあるのですね、という感想ではじまっていた、自分の場合。それにたいして自分が今ぱらぱらと見たブログサービスの新着ブログを見ていると、だいたい年齢もしくは主婦であることが分かるようになっている。どこかの景色写真、もしくは猫、あるいは犬、今晩の夕食、その写真、サイドバーにはFX、そして右上に忍者のアクセス解析。ほかに化粧品のアフィリエイトと逆アクセスランキングが貼ってあり、記事の末尾にはポチッとクリックしてください、と書いてある。そうそう、これがふつうのブログ世界だ。記事はどれも面白くなかった。

   *

他人に興味がもてなくなっている、という風には見えないんですよね、と白衣の男子は言う。ご自分で、自分のことは好きですか? あ、やさしそうな顔して、これってid:xevra式、自己調和力の話ですね、わかります。えー、嫌いですねぇ、一番嫌いです。自分のことを好きにならないと、なんにもはじまりませんよ、え、そうなんすか。

   *

とりあえず自分へのご褒美をあげたい!とか思えるようになるためのネタづくりに、いやその前に、まず仕事休みについては、まぁ、当初から、リフレだかなんだか経済のことはよく分からないけれども、とりあえず金が使いきれないほど余っているのだし(今月やばい、みたいなセリフ、文字通り受け取ることはないけど、あれ、なんなの? 貯金が1000万未満って、どういう生活したらそうなるの? リア充なら当たり前ですか、そうですか)、それでいて報道を文字通り受け取るなら、不景気のあおりであんなことやこんなことになっている人たちよりもいまなお収入はあるのだし、いやそうではなく、この金じゃ到底足りねえよ、という生活に入れるようになることをせめて夢に見られるように、おえっ、つまんねーと思いつつ、それが普通のブログ式だし、目指すはダイエットだなぁ、断食ダイエットだなぁ、胃が求めなくなるようにしないとなぁ、晩年のトルストイ先生にに dis られなくならないとなぁ。

そう思って、アクエリアスのカロリーゼロ大量と、TENGAのフリップホールと、コールオブデューティー4をAmazonで発注した。

この話では、はじまりにでてくるフレーズで断食芸人の芸はそれ以前ほど人気のあるものではなくなった、と述べられた上で、「けっこうな実入りにありつけたものだったが」と、まず、断食芸人の物質的側面が強調される。
しかし一方、ストーリーは芸人の精神的満足獲得のための格闘の描写に終始しており、この芸人にとって物質的な事由がどう重要だったのかということについてはどこまでいっても明らかにはされない。芸人は、話の最中、ほとんどの時間を藁が敷かれているばかりの檻の中で過ごしている。サーカスとの契約においても、芸人は、物質的な契約条件には目をやることもなく、自らの芸の披露の機会と自身の尊厳とだけを重視するばかりだ。
ƒJƒtƒJu’fHŒ|lv