食洗機を買える男、食洗機を買えない女

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こうして僕が電子タバコの赤ランプを点滅させながら、暖房のギンギンに効いた自室で全裸になってブログを書いている今も、あなたは食器を洗い続けている。素直にJOYを使えばいいものを、100円ショップ・ダイソーで買った安物のインチキ洗剤を使うので泡立ちが悪い。
 
 
 
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購入した人の97%が必需品であると応えた食洗機を買わない理由はなんだろうか。97%。残りは3%だ。失業率よりも低い。あの、忌々しいオシャレな部屋を晒すスレにあるような、生活に必要なものがなに一つないシンプルなオシャレルームに憧れているから、食洗機が導入できない。食洗機はデカい。食洗機はダサい。食洗機を持っているとゴミ屋敷の主扱いされる、そんな言い訳を並べているあいだも時は過ぎ、僕はどんどんライフハックを読んで成長している。あなたはまだ皿を洗い続けている。
 
 
 
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食洗機は、ロードバイクに似ていると思う。あの風を切って進む爽快感。とりわけ都市部に住んでいたら、駅まで歩いて電車を乗り継ぐよりも自転車のほうが早いように、JOYをスポンジにつけてゴシゴシ洗うよりも食洗機に入れて洗剤を一振り、スイッチ一つである。
しかし違う点もある。それは外見だろう。
スポーツバイクの優れている点がホイールの軽量さであったりフレームの剛性であったりすることよりも、その外観のシンプルなところに魅力を感じて外見から入る人が9割であるロードバイクとは反対に、食洗機のないキッチンはシンプルで美しく見える。食洗機のあるキッチンは、あたかも前カゴ、泥よけ、リアキャリアにバンドブレーキ、スタンド、チェーンガードまでついた15kgを超えるママチャリのように(そう、象印の食洗機の重量はちょうど15kgだ)、それが便利であればあるほど見た目のシンプルさ、美しさは損なわれてゆく。いずれ素敵な婚約者と新築マンションに引っ越したらビルトインの食洗機を設置するんだ、などと考えているとしたらそれは大きな間違いだ。ビルトインは万一故障したら大騒ぎ。外付けを推す人がほとんどなのである。
 
 
 
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しかし、ひとたび、佐川急便からダンボール箱が届き、箱を開けて、設置する。物欲の支配期間を過ぎてしまうと、あとはその機能美。これはべんり。便利さの恍惚。圧倒的な優越感。非モテは努力が足りないのだ、と言いたくなる人の気持ちがよく分かる。あなたは努力が足りないからいまだに皿を洗い続けているのだ。ひとたび食洗機を導入してしまえば、それまでに失われた時の大きさに愕然とするだろう。ゴシゴシと皿を洗い、手の皮膚を痛め、水を浪費し、超高齢化社会において寿命の長さを決めるところのお金まで、それが尽きたらアパートで野垂れ死に、その日まで生きる、そういう時勢にあって、いたずらに寿命を短くしているだけだ。
 
 
 
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英語の上達方法をブクマして終わり。タモリのレシピをブクマして終わり。仙石官房長官の悪口を書いて終わり。そして食洗機ブログを流し読み、そして終わり。そんな人生で大丈夫か? なぜ食洗機を買わないのか?
 
 
  
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そんな記事を書いたところ、象印社から食洗機用洗剤30年分が送られてくる夢を見ながら今晩はカレー曜日。出来合いのサラダ。アクエリアス。どうして俺はいつもこうなのだろう。食洗機を絶賛オススメしているつもりでありながら、誰も買いたいと思えないブログをアップしてしまうのだろう。
 
 
 
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レトルトの袋を水で流したほかは、食洗機に投入。今日の乾燥は15分だ。
 
 
 
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食洗機が働いているあいだ、写真を撮ることにした。E-P1 + Canon LENS NewFD 100mm f4.0 Macro で撮ったのは2枚目から5枚目。1枚目は ZUIKO Digital 35mm f3.5 だ。
 
 
 
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100mmマクロ(E-P1で使うときは、換算で200mmマクロ)ってこんなに距離とるのだな。。。
 
 
 
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もう、ブログになにを書けばいいのか分からない。15分乾燥では乾きが悪い。
 
 
 
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年を取って、ものを深く考えないようになった。
明日はなにを食べ、どの食器を洗うだろうか、そんな思念だけで脳内は溢れかえっている。