標高日本一、JR野辺山駅から坂道を転がり落ちる人生のような自転車

やっと土曜日だ。
床に散乱した衣類を洗濯機に投げ込み、洗濯機を回し、30リットルの燃えるゴミの袋を容器から引っ張り上げて口を結んで廊下に放り投げ、Philip Morris Super Light と100円ライターをポケットにつっこんでゴミを出しに行く。戻ると、フライパンに昔買ったエコナを垂らしてシャウエッセンを2本、Lサイズ卵を1つ、パックに小分けにした冷凍ご飯を電子レンジに入れて3分50秒。卵焼きごはんwithシャウエッセンに胡椒をかけて食べながらテレビをつけ、PCの電源を入れてはてなブックマークツイッターを眺める。俺の日常。
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そうして気がつくともう日曜日になっていた。嗚呼、俺はなにをしているんだ? 俺はもうアラフォーなんだぞ? やっと一息ついたと思ったら日曜日。日帰りでサクッと行ける夏向きの自転車コースはないのだろうか? 誰かそういうブログを書かないんだろうか?
 
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先週に読んだ鉄ヲタイクラー氏のガイド本にあったコースが思い出された。東神奈川から横浜線で八王子へ。そこからスーパーあずさ5号に乗れば、甲府を経由して小淵沢まで2駅だ。小淵沢から登山列車に乗って清里を過ぎれば、JR駅としては日本一の標高、1345mを誇る野辺山駅にはあっという間だ。野辺山から甲斐大泉甲斐小泉と絶景の道をゆるゆると下り、小淵沢へ戻ったら国道20号まで出て甲府へ、いや石和温泉まで、ずっと下り坂オンリーだという噂。
 
 
 
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真夏のサイクリングは汗地獄だけれど、標高日本一のJR野辺山駅まで輪行し、そこから坂道を転げ落ち続ける俺の人生のような自転車に乗るならば、漕ぐ必要もないし、汗もかかず、楽勝なのではないだろうか。そして、そんな人生、否、自転車は、とても気持ちいいのではないだろうか? いつまでもヒルクライムを続けるだけの人生なんて、バカじゃなかろうか。
 
 
 
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東神奈川駅で野辺山までの乗車券と、八王子〜小淵沢間の特急券を購入。やがてAM7:30東神奈川駅始発の横浜線がのろのろと現れる。おいらにしては珍しく、往路も復路も時刻表を予めチェックしての旅だ。走行時間も今までの経験値を加味して、きちんと余裕を持たせて計算した。輪行旅につきまとう列車の混雑状況だけが不安要素だが。
 
 
 
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車両最後尾に輪行袋入りロードバイクを立てかけて紐で手すりに結ぶと、自分は近くの座席に座ってアイホン4の電源を入れて、Storm8 の World War(おいらは英軍)の続きをはじめる。
 
 
 
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日曜早朝の横浜線はガラガラにすいていた。新横浜、町田、橋本を過ぎ、1時間ほどで八王子に到着。
 
 
 
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八王子駅での乗り換え時間は8分。輪行袋を肩に担いで階段を上り下りし、ちょうどやってきた新宿発・松本行のスーパーあずさ5号の自由席車両に乗り込む。
 
 
 
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この時点で指定席券は売り切れとの放送がある。自由席も満席の様子。
 
 
 
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仕方なくというか、輪行組の定位置というか、入り口通路に自転車を立てかけてわきにしゃがみこむ。いや、その通路も混んでいるのだが。
 
 
 
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乗客の何割かが甲府で降りた後は、座席に座ることができた。が、まもなく小淵沢に到着。八王子からは80分ほど。
 
 
 
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小淵沢駅での乗り換え時間は4分。特急が遅れて到着したこともあり、早足気味に登山列車JR小梅線小諸行に乗り込む。こちらは完全にピクニックな乗客層だ。こんな勝ち組な家族連れ満載の電車に男子1人の俺が乗っていたら違和感アリアリだが、肩に担いだ黒い自転車袋と、ロン・ヘンリー(カメラマン)の発明したR・ストラップをとりつけた Panasonic DMC-G1 + OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL 9-18mm f4.0-5.6 がそれをいくらかは緩和してくれているような。
 
 
 
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女性の声のガイドテープが流れるワンマン鉄道小梅線で高原をゆく。徐々に高度を上げ、ときどきつばを飲んで気圧の差を意識。
 
 
 
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ガタンン・ゴトンンとまったり進む小梅線。親に連れられた小さな少年の鉄ヲタ予備軍みたいのが次から次へと車掌のいない最後尾にやってきてはキヤノン製のコンパクトデジタルカメラで車窓を撮っていく。俺も負けずにロン・ヘンリー(カメラマン)の発明したR・ストラップをとりつけた DMC-G1 のシャッターを切る。
 
 
 
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やがて山梨県で最高標高、日本では第2位となる清里駅に到着。乗客の多くはここで降りてしまうようだ。が、俺はさらに上へ向かう。
 
 
 
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ガタンン・ゴトンン。
 
 
 
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JR駅標高日本一、野辺山駅に到着。ここは長野県だ。(でも走り出すとすぐに山梨県に戻る)まぁ、言われないとここが日本一、って雰囲気でもない。
 
 
 
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さっさと自転車を組み立てて、まずは典型的なローディ記念写真。著しく機嫌の悪そうだった土産物屋さんでタバコを買ってサイコンを取り付け、SONYのナビ子の電源をON。最初の目的地に「きよさとえき」を設定する。
 
 
 
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さぁ、甲府まで、いや石和温泉まで、ひたすら坂道を下るだけの簡単なお仕事です!
 
 
 
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本日のルートの最高地点は清里野辺山駅の中間点にあるので、しばしは平坦かゆるい上りもある。駅でマウンテンバイクをレンタルしているので乗ってる人が多い。ローディは見かけなかった。が、ここで問題が。。。
サイコンが作動しないのだ。自宅〜東神奈川駅間の走行記録は残っているので、輪行中におかしくなったか。センサーの位置をいくら調整しても作動してくれない。
 
 
 
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仕方ない。平均時速や最高時速は取れなくなるが、ナビ子が走行距離は記録してくれる。今日のルートでロードバイク積算5000km突破の予定だったので残念だが、まぁ進もう。
 
 
 

鉄道で広がる自転車の旅 「輪行」のススメ (平凡社新書)

鉄道で広がる自転車の旅 「輪行」のススメ (平凡社新書)

今回ルートの参考にしたこの本、地図やルート詳細の図説が少ない文章系サイクリングガイドなのだが、各地の廃線がサイクリングロード化されてるケースが多いことから、そっち方面(鉄)の話が充実していて面白い。ただ、(自転車好き)で売っている美女モデルさんをたくさん起用していちいち笑顔で走る美女の写真が大変けまらしいところが残念ではある。あんなに美しい顔でサイクリングなどできない。滝のような汗と闘うのがサイクリングであり、それを避けることのできそうな唯一のルートがこの坂下りなのだ。
 
 
 
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やがて左手にダムが見える? なんかおかしい。気持ちよく坂をガンガン下っているのだが、まずは清里駅。ついで甲斐大泉、小泉を経て、「信玄の棒道」にぶつかるんじゃなかったか?
 
 
 
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道を間違えた予感はするのだが、道は延々と下り。引き返す気力など全くない。SONYのナビ子は清里駅へ案内してくれるはずなのだが、時速が40km/hやら50km/hやらにもなると、風切る音で声がかき消されてしまうし、一度道を間違えてしまうと、ナビ子はそこから新しいルートを検索しなおしてしまう。「今の右よ!」「通り過ぎちゃったわよ!」とは言ってくれないのだ。
 
 
 
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不安を抱えつつもしばらく下り、ローソンで小休憩。典型的記念写真を撮る。
 
 
 
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典型的記念写真を撮る男を撮る。
ここでようやくナビ子の案内目的地を「きよさとえき」から「こぶちざわえき」に切り替える。
 
 
 
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ほいで野辺山〜小淵沢間については、当初想定ルート(北寄り) と、実走ルート(南寄り)は、だいぶ変わってしまった。景色も勾配も距離もぜんぶ負け組ルートである。最初に激しい下りを下ったのが間違いというか。しかし途中から引き返して坂を登る気もないし、仕方なく少し上りにはなるが、小淵沢までは出ることにする。本来の、清里の避暑地のペンションの合間を、勝ち組のおねいさんやおじさんたちがゆるゆるとテニスを楽しむ絶景の小道を進むのではなく、南寄りの標高の低い退屈な道をまっすぐ小淵沢へ向かう。サイコンの不調に続いてこのミスは痛い。これは人生の教訓なんだろうか?
 
 
 
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べつに少々の上りでへばるわけでもないのだがこの暑さ。予定にない上り坂を登るつらさ。
 
 
 
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ああ、ひたすら下り続ける自転車というテーマが崩れていく・・・
 
 
 
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そんな俺の人生を上から目線で激しく見下している、その自覚すらない通俗ひまわり!
 
 
 
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とはいえ、基調は下り。ほどなくして登山列車の起点、小淵沢駅に着いた。別にこの駅に用事のあるわけではないが、先のガイド本によれば、小淵沢から国道20号へ抜ける途中の道に美しいループ橋があるという。早速、ナビ子の目的地を「こうふえき」に切り替え、出発する。
 
 
 
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すいすいすーい
 
 
 
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しかるにいつまでたっても件のループ橋なるものは現れない。
 
 
 
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どうやらナビ子は国道20号を使うことなく甲府へ向かおうとしていたようだ。アップダウンのある17号線を走らされた挙句、ようやく20号とぶつかるのは甲府駅の近くにきてからだった。嗚呼。
 
 
 
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北側がアップダウンのある国道17号線実走ルート。南側がひたすら下りという噂の国道20号線ルート。
 
 
 
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なにもかもうまくいかない。
 
 
 
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マックで休憩。QOOのLサイズとハンバーガーを頼み、それと水をもらう。
 
 
 
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日焼け止めいらずになるぐらいにはすでに黒い焼き豚と化している俺なのだが、それでも少しヒリヒリしてきた。
 
 
 
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甲府駅に感想なし。南側はとくに見なかった。
 
 
 
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山梨県なんだなぁ、もしかして生まれて初めて来たんじゃないか?
 
 
 
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まだ時間があるので、甲府からの輪行とはせず、石和温泉駅へ向かう。
 
 
 
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おじさん向け週刊誌を愛読する俺には、石和温泉といえば「スーパーコンパニオンや芸妓、メイドコンパニオン、浴衣コンパニオンといった宴会でを盛り上げてくれるレディーが皆さんを盛り立ててくれます。宿によってコンパニオンが異なりますのでこのサイトをご覧いただき、ご自分たちにあったプランでお楽しみくださいませ!」(原文ママ←ドコ?)と裏風俗というイメージなのだが、そういうこと書くと怒られるぞ、と。
 
 
 
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石和温泉駅着、と。
たとえば熱海と比べると、なんというか、ワケあり風に見えるカップルみたいなおじさん的なものの雰囲気は少なく、それは向かいにショッピングモールがあるからなのか俺の目が曇っているだけなのか知らない。いや、予想よりはさわやかな雰囲気だ。
 
 
 
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せっかく「温泉」と名のつくところなので・・・
 
 
 
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足湯のみ入る。時間がさほどないし、自転車持ちだから。
 
 
 
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さて、計画通り、石和温泉から横浜駅へ直通の特急「はまかいじ号」に乗れそうである。べつに石和温泉始発というわけではなく、甲府から乗っても良いのだけど、時間がまだあったので。
 
 
 
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向かいのSATYのスーパーで紙パック1リットルのジュースを買ってエスカレーター下の休憩ベンチでガブガブ飲んだり。(ロッテリアがあったのだが混んでたので)
 
 
 
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ホームでしばし待つ。列車は遅れているようだ。
 
 
 
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横浜直通はまかいじ号キターーー
 
 
 
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この電車も指定席は完売だったけれども、自由席が比較的すいていた。
 
 
 
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横浜着。さあとっとと帰ろう。
 
 
 
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明日からはまた石をトンカチで叩いて二つに割って石をつくる、みたいな仕事が続く。
 
 
 

野辺山から甲府、石和温泉へ 走行距離:66.5km
 
Photo info
Panasonic DMC-G1 + OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL 9-18mm f4.0-5.6 :ほどんどの写真 /トリミング随時
ストラップ : RS-4 / デジカメアイテム丼:ブラックラピッド「R-ストラップ」 - デジカメ Watch
PENTAX OPTIO 60 :自転車の車輪かフロントフォークの写っている写真 / 3:2トリミング / 参考
Apple iPhone4 : 特急列車の車内写真とか / 3:2トリミング